ハンゾーモン 半藏門 江戸城内郭の城門の一。一に麹町御門ともいふ。吹上禁苑の裏に當る。名稱は門内に服部半藏正就の屋敷があったので名づく。半藏御門。
出典:「大辞典」第21巻 昭和11年5月刊 平凡社 発行者下中弥三郎
メディア・コンパス2「RTT=Real Time Transcriptionシステムの意義」
人の話を聞いて理解する、という行為がコミュニケーションの基本であることは周知の所である。そしてまた、日常会話において、講演において、あるいはシンポジウムにおいて、講義において、会社の上司の指揮命令、契約交渉等においても、コミュニケーションの成立のためには正確には合意文書の積み上げによってしか確認されないこと、これも諸賢の周知するところである。つまり、会話と認識の合意の間にはいくつかの認識の段階が必要なのである。
ましてIR=Investment Relationのレクチャーにおけるような正確にして迅速な説明と理解の必要な場合においては、幾重かに用意されたコミュニケーションツールの準備されることが有効である。
そのためには、レクチャーする音声がそのまま会議場に聞こえることはもちろん、同時にレクチャーされた文言がそのまま会議場のスクリーンに投影され、参加するものはすべて耳で聞こえたことを目でも確認できる、しかもレクチャー会議の終了後には、出口でその説明文書が第三者の手によって手渡されるというのがもっとも理想的である。なぜなら、そこには音声と同時に掲示されたスクリーンによる確認があり、しかも内容が耳に残っているうちに第三者によって保証された確認文書が渡されるからである。
しかし現在、このような理想的な議事録、あるいは確認文書の作成は不可能である。まず第一に「音声の絶対的な記録」という方法はないからである。音声入力が進歩したといっても、確率の範囲なのであって絶対の100%の記録ということではないのである。その限り、現在においても記録は参加者の「合意」によって成立せざるを得ない。したがって、現在のニュース、あるいは記録は、発信者の意図も含む「発信者の責任」によってなされざるを得ないのである。
その理を周知のこととして、われわれトランスクリプション業者はリアルタイムトランスクリプションの実現に向って努力しているところである。実際のところ、レクチャー、会議、シンポジウム等々の記録を完全にするためには、人力によるタイピング速度のおよぶところではない。しかし、近年進歩のめざましいDeaf-MuteのためのRT-Tシステムはほぼ実況記録の段階まで達しているといってよいであろう。あるいはベテランの同時通訳クラスの水準にいたっているといって過言ではない。
では何故、RTTシステムは実況記録段階に達することができたか。
第一は、同一文書のタイピングを複数人によって遂行するというコンビネーション&ソフトの成功、これは長年のトランスクライバーとしての経験によるところが大である。第二は、これも長年にわたるトランスクライバーとしての識見の積み重ねによるところが大きいが、記録の要約化である。これらはいずれも外国語の同時通訳の要領と言っていい内容である。
従来、トランスクリプションは、音声からの成文翻訳といわれてきた要素がある。
(これは同じ音声を複数人で起こすと、同じ文意でありながら微妙に異なる表記の人数分の記録ができる、という実験あるいは経験でも明らかである)、その要素がまさに活かされた、あるいは認められるに至りつつある、ということかもしれない。
普通人は、同時通訳が発言と同時に始まり発言と同時に終わることを不思議と思わない。主要なる内容は漏らさず通訳されていると思っているし、仮に不安を感じることがあっても、その後に出される文書によって確認すべきものは確認できると思っている。実に、音声の文字翻訳においてもそういう時代がきたというべきなのであろう。
社会的に異国人を理解できないものとして差別したり、Deaf-muteを人外の人として差別したりして済む時代ではなくなったという背景もあるのであろうし、レクチャーにおいて必要不可欠なものは、その後の文書によって確認できる、という記録に対する社会的認識の変化もあるであろう。
つまり、万人に等しくレクチャーや会議や、シンポジウムの記録が与えられようとすれば、同時通訳が認められるように、音声のリアルタイム文字翻訳も必要不可欠なものとして認められる、あるいは認められなければならない時代に成ったということではないだろうか。あと必要なものは、いずれも発信者の合意のみである。
その意味においても、RTTシステムは、現代の時代が生む出して来たものだといえるかもしれない。
(2009年7月27日 引地正)
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