(半蔵門だより)

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ハンゾーモン 半藏門 江戸城内郭の城門の一。一に麹町御門ともいふ。吹上禁苑の裏に當る。名稱は門内に服部半藏正就の屋敷があったので名づく。半藏御門。

出典:「大辞典」第21巻 昭和11年5月刊 平凡社 発行者下中弥三郎

アメリカノート①2021年バイデン政権発足に際して

写真:南アメリカ大陸のカリブ海に面する国、ガイアナ共和国の海岸に立つ灯台

この灯台(現地ではThe Light Houseと呼ばれている)は、1830年に建設されて以来、沿岸を照らし続けてきた。

2015年、海岸側に灯台機能を備えたマリオットホテルが建設された(建設は中国の建設会社SCG)ことにより、この灯台は185年に及ぶ役割を終えた。

ガイアナ共和国では2020年に石油メジャー、エクソン・モービルによる原油生産が始まり、かつてなかったほど多くのアメリカ人が移住している。

 

ジョー・バイデン新大統領の就任式からはや1か月余りが経った。

ドナルド・トランプ前大統領は「選挙は盗まれた」と述べて、当初この選挙結果を認めなかった。1月には、過激な支持者数千人が選挙結果の確定作業が行われていた連邦議会議事堂へなだれ込み、死者も出る事態となって世界を驚かせた。更には歴代大統領が就任式を行ってきた3月4日にトランプ氏が「就任式」を行うというデマが広がり、不測の事態への警戒のため、会期中の議会が休会となる騒ぎとなった。

退任後初めて公の場に姿を現した際、トランプ氏は「民主党政権を再び打ち負かすことを決めるかもしれない」と述べ、4年後の大統領選に再度出馬する可能性を示唆したという。

陽気で饒舌でエキセントリックな前大統領と、オバマ政権で2期にわたって副大統領を務めた新大統領。歴代最高齢の78歳。

虚心に見ても、振れ幅が大きすぎる。不謹慎な言い方かも知れないが、面白過ぎる。二大政党制ってこういうことなんだろう。

そしてそれが、くしゃみをすれば日本が風邪をひくアメリカだ。

新大統領は就任初日から矢継ぎ早に前大統領の政策の撤回を行った。

 地球温暖化防止のためのパリ協定への復帰、世界保健機構(WHO)脱退の取り消し、メキシコ国境の壁建設に向けた国家非常事態宣言の解除命令等、就任当日に15の大統領令に署名した。更に公共交通機関におけるマスクの着用、連邦機関の建物のデザインに関する措置、カナダからの原油パイプラインの一部の建設許可取り消し等大小さまざまな政策の見直しに余念がない。

  典型的なもののひとつが移民政策の見直しだろう。そもそも移民対策の強化はトランプ前大統領の目玉政策の一つで、メキシコ国境に実際に建設された壁は、見た目にも象徴的だった。トランプ氏は「ゼロ・トレランス」をうたい、不法に国境を越えて入国した成人を起訴・収監した。彼らに伴われてきた子どもたちは刑事訴追の対象とならないため、施設に収容されたり里親制度に組み込まれたりして家族は引き離され、米国内でも大きな批判を受けた。トランプ政権下でも移民の数は増えたものの、増加率は減少し、永住権ビザの取得や難民受け入れは減少した。

厳格な措置は2018年に停止されたが、2020年にはコロナ禍によって米国内でも失業が増えるなか、米国内労働者の雇用を保護する必要があるとして、移民の入国を制限した。バイデン大統領はこれを撤廃し、関係諸国からのビザ申請処理を進めるよう国務省に指示したものだ。

 前大統領の「アメリカ第一主義」から同盟を重視する国際協調型へ、環境保護へのコミット、人権重視の姿勢など、大きく方向性を転換したアメリカ。ビジネスマンとしての背景を持つ前大統領から、中産階級の家庭から弁護士、上院議員となり、外交経験豊富で国内政策でも実績を積んできた新大統領へ。就任演説では国民の結束を呼びかけ、2020年に外交誌『フォーリン・アフェアーズ』に掲載された論文では世界のリーダーたるアメリカを目指すという規範意識が見え隠れする。目指す国家像が違うことは明らかだろう。

 ドナルド・トランプ政権とは何だったのか、ジョー・バイデン政権下のアメリカはどこへ向かうのか。日本はどのような影響を受け、どうあるべきなのか。今後も折々のニュースから探っていきたい。

2021年3月15日

橋本あかね

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